家計資産の形成方法における注意点とは?

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2022年から金融教育が必修化されたことで、資産形成に対する世間の関心が高まっています。
老後2000万円問題やトレンドとなったことからも分かる通り、将来への不安を感じ対策に乗り出す方は少なくありません。

そこで有限会社グリーンアースが「家計の資産形成」について注意すべき点を
国際金融や現代米国経済の研究をしている龍谷大学経済学部の竹中正治准教授に取材しました。

龍谷大学竹中正治
取材にご協力頂いた方

龍谷大学/経済学部
竹中 正治教授
略歴
1979年東京大学経済学部卒業。同年、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行。為替資金部次長、調査部次長を経て、2003年にワシントン駐在員事務所所長。帰国後、2009年より龍谷大学経済学部教授に就任する。龍谷大学では、国際金融論・現代米国経済論を専門として活動している。国際通貨研究所経済調査部長兼チーフエコノミストを歴任したこともある経済学者。日本国際経済学会、日本金融学会の会員。

論文に「ドル建てポートフォリオの為替リスクヘッジ戦略」「金融危機後の米国の収縮する経常収支赤字と対外純負債膨張のパラドックス」「資産分布格差で読み解く日米家計のリスク性金融資産比率の相違」等がある
個人サイト
竹中正治公式ホームページ

投資で資産形成をしたい人が増えている背景には、年金不安の他にどのような理由があるのでしょうか?

「竹中正治教授による解説」

ひとつは将来の賃金について「あまり上がらない」という悲観的な見方があるのでしょう。

また、預貯金がゼロ金利にとどまる一方で消費者物価上昇率は前年比で3%を超えるようになり、その結果、預貯金の実質価値が減少していることを意識する人達も増えてきているでしょう。

投資に関心がなかった方が市場に参入する上で、どんな点に注意するべきでしょうか?

「竹中正治教授による解説」

証券会社、銀行、保険会社などのセールススタッフの薦める運用商品を内容を十分に理解できないまま買わないことです。

ほとんどの場合、高額な手数料が組み込まれた商品です。

正しい金融リテラシーを段階的に学ぶにはどのようなステップが理想的でしょうか?

「竹中正治教授による解説」

投資・資産形成について正しいことをきちんと解説した本を読むことですが、俗流な書籍が溢れている中で何が正しそうか、初心者は見当がつかないでしょう。最近の本のうち2冊だけ紹介しておきます。

・田村正之「人生100年時代の年金・イデコ・NISA戦略」日本経済新聞出版、2021年

・竹中正治「資産形成のための金融投資論~黄金の波に乗る知の技法~」Kindle版、2020年

また私がNPO法人FIWAと共同で運営している以下のサイトをご参照頂きたい。

・NPO法人FIWA「家計の資産形成応援ツール

つみたてNISAや確定拠出年金などが普及しきらない理由は何でしょうか?

「竹中正治教授による解説」

次第に普及しつつありますが、まだ日本の家計の金融資産構成全体を目立って変えるほどの規模にはなっていないということでしょう。

資産形成の基本に関する教育が中・高校、大学、職場の各レベルで必要です。

「お金の教育」の義務教育化により、日本の家計・市場は今後どう変化すると考えますか?

「竹中正治教授による解説」

正しい金融リテラシーを身に着けて資産形成に成功する人達と、そうでない人達の資産格差が長期的には広がるでしょう。