A・Kさん
ご自身の周囲では聞かないかもしれませんが、試用期間中に「退職」という賢明な判断をした人はたくさんいます。そんな人達がどのような体験をされたか気になりますよね。
今回は試用期間中に退職した人の体験談を厳選しました。実際に退職するか迷っている人にとって必ず参考になりますので、最後までぜひご覧ください。
【前提】試用期間中に退職することは迷惑でも問題でもない
試用期間とは会社と労働者それぞれのお試し期間です。
B・Iさん
B・Iさん
オルサポスタッフ
また「入社してすぐに辞めるなんて申し訳ない」と考える人もいることでしょう。これは間違いです!
会社は試用期間中の人に対して期待するとともにこのように考えています。
- 試用期間中の人なんていくらでも代わりがいる
- 一人前になってから退職されたほうがショック
むしろ代わりがいくらでも探せる半人前の時期に退職したほうが、会社に迷惑をかけにくいのです。
試用期間中に退職するのは法律違反ではない
民法では労働者の退職の自由が認められており、退職を申し出て2週間経てば退職することができます。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。(民法第627条)
正社員のように期間の定めがない雇用契約をしている場合、勤務歴や年齢、役職などに関係なくこの法律は適用されます。
また契約社員のように雇用期間に定めのある場合は、基本的に契約期間中に退職することはできません。しかし民法第628条に「やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる」と明示されています。「やむを得ない事由がある場合」に限りますが、契約期間中に退職は可能ということです。
つまり雇用形態に関係なく、試用期間中に退職したとしても法律違反になりません。
試用期間中に退職した人の体験談8選
試用期間中に退職することは可能だということはわかりましたが、実際退職した人達はどのような体験をしたのでしょうか?
体験談①3か月の試用期間で退職した20代男性
私の前に実は「仕事がおもしろくない」と1ヶ月で辞めた同期がいて、それを見て転職活動をはじめました。試用期間が終わる3ヶ月目に採用が決まったので、転職することにしました。
会社辞めてよかったなと心から思うのは、自社の商品やサービスを手にとってくれたお客さんから、直接感謝の言葉が聞けることです。仕事のやりがいって、人生の幸福度に直結してますね。本当に転職できてよかったです。
仕事のやりがいや楽しさは「続けてみないとわからない」こともあります。しかしこの人は早い決断が自分に合った仕事を見つけるきっかけになりました。
新卒で試用期間中の退職は失業手当を受け取れない可能性が高いので、退職の前に転職先が見つかったのは経済的にも安心できますね。
体験談②試用期間中の仕事を3日で辞めた20代女性
試用期間3日目に諦めていた会社から採用の連絡がきました。ひとまずアルバイト採用ですが、どうしてもやってみたかった仕事なので挑戦してみようと決断しました。
職歴はズタズタになってしまいますが、そのことよりもチャレンジしたい気持ちが大きかったです。今後の成果次第で正社員になることもできるので、頑張りたいと思っています。
「安定の正社員か、やりたい仕事のアルバイトか」非常に悩むところですが、この方は仕事のやりがいを選ばれました。「職歴」を気にしていらっしゃるようですが、ちゃんと転職先が決まっているのですから問題はないでしょう。
体験談③試用期間約1ヶ月で退職した30代女性
業務内容は複雑ではないですが、量が多く、ひたすらこなすという感じの仕事でした。2週間もしないうちに先に入社していた人が2人も辞めました。
「今は忙しいから落ち着いたら.…」と思っていると、違う人がやめて引き継ぎすることになり、今度は「引継ぎしたばかりで辞めるのは迷惑かかるから…」と辞めることができなくなる不安を感じました。
上下関係がない点ではいい職場かもしれませんが、長居は無用と思い退職しました。今は違う会社でパートをしています。給料は低くなりましたが、あの仕事を続けないでよかったと思っています。
職場にはすでに辞めたくても申し訳なくて辞められない人がたくさんいたのでしょう。仕事は「自分の人生を豊かにするためにすること」です。「一緒に働いている人に申し訳ないから」とか「やらないと仕事が回らないから」という理由で続けていくものではありません。
仕事の目的を見失う前に退職できてよかったですね。
体験談④試用期間中14日以内に即日退職した20代男性
私は大卒後20代で転職3回し、今の4社目が一番楽しいです。特に1社目は採用面接のときの話と入社したときの実態があまりにかけ離れていたので、すぐに退職しました。最初に騙されたのなら、今後どんな嘘をつかれるのかわかりませんから。
転職をするか悩んでいる人に言いたいのは、「心配することなんて何もない!怖がる必要もない!」ということです。自分の心の赴くままに、自由に、社会で活躍してほしいと願っています。
面接で説明されたことと実際の待遇が明らかに違うのは、法律違反の可能性があります。そのような法律違反を堂々としてくる会社なら辞めて正解だったといえます。
ただし、あまり短期間に転職しすぎると
- 採用してもすぐ辞めるかもしれない
- 周囲と馴染めない人なのかな
上のように採用担当者に疑われてしまい、転職しにくくなる可能性があります。20代のうちに3回以上の転職はおすすめできません。
体験談⓹どうしても仕事が合わず試用期間に退職した40代男性
私が転職して入った会社はホワイト企業で人も良い人ばかりでした。お給料だって悪くなかったです。しかし「プログラミング関係」と聞いていた仕事が実際はほとんどExcelにコピペするだけといった内容でした。
どうしても合わないし、自尊心を傷つけられたような気がして、いつの間にか適応障害になってしまいました。その後失業保険を受給したのちに転職しました。思い通りの仕事ができる生活が始まり、仕事に自分のスキルが活かせて毎日が楽しいです。
せっかくキャリアアップのために転職したつもりが、能力を活かせない職場では長続きしないですよね。この方は前職があったので、失業保険も受給できたようです。適応障害やうつ病といった精神障害が重症化すると、治療に時間がかかり社会復帰ができなくなってしまう場合もあります。
少しの体調不良だと馬鹿にしないで、早めに医療機関にかかって適切なアドバイスを受けるようにしてください。
体験談⑥試用期間で辞めたパートの女性
子どもが中学生になったのを機会にパートをはじめました。定時退社できると聞いていたのに、毎日2時間のサービス残業がありました。先輩達が何も言わずに当たり前に残業しているので、私も何も言えずに悩みました。
でもこのまま2時間帰るのが遅いと今度は家庭に支障をきたしてしまうので、思い切って辞めました。今のところ他に働くあてはありませんが気分がスッキリしました。
正社員、パートなど雇用形態に関係なく、残業代を払わないことは違法です。かといって、先輩が何も言わないのに入ったばかりの新人では声をあげにくいですよね。会社の職場環境や労働条件がおかしくても、新人が声をあげたところで変わることはほぼありません。
体験談⑦試用期間が始まり3日で退職した男性
転職してすぐ職場の雰囲気が最悪なことに気付きました。社員の間であからさまな派閥抗争があり、まだ会社の右も左もわからない状態なのに巻き込まれ、精神的に辛くてすぐに辞めました。
前の会社は厳しかったけど、こんなことなら転職しなければよかったと心から後悔しました。金融業界なので、グループというか多少の派閥みたいなものがあるのは仕方ないのかもしれませんが、職場の雰囲気は本当に大事です。今の会社は社員同士の雰囲気も良く、馴染んでいけそうです。
職場の雰囲気は会社の説明や面接だけでは想像できず、実際に入社してみなければわかりません。この方のように職場の雰囲気が悪いことが早々にわかった場合は、抜け出せなくなる前に退職するのが賢明です。
体験談⑧休日出勤や長時間労働に限界を感じて退職
長時間労働に残業代未払いを当たり前。休日出勤は日常です。しかも大量のコピーや資料のホチキス留めなんて、他に事務員さんも雇っているのですから総合職にやらせる仕事ではないですよね。 これで基本給が手取り20万円以下です。馬鹿馬鹿しくなって辞めました。私は小間使いもなるために司法試験に合格したんじゃありません!
長時間労働や休日出勤は割増賃金が支払われなくてはいけません。未払いを当たり前としてさらに人材の無駄遣いをしているようでは、会社の将来性も心配になってきますね。辞めてしまって問題ないです。
試用期間中に退職したくなる5つの原因
使用期間中に退職したくなる原因は5つあります。
- 入社前の説明と実際の業務内容が違う
- 職場の雰囲気が合わない
- 行う仕事に対して自分のスキルが足りない
- 職場の人間関係が良くない
- サービス残業や休日出勤が多い
人間関係や仕事の難しさなどは時間が解決してくれる場合もあります。しかし労働条件や業務内容など、1人の力ではどうしようもないこともあるでしょう。
具体的に説明していきます。
原因①入社前の説明と実際の業務内容が違う
入社前の説明では会社の様々な情報を聞くことができます。しかし耳触りのいいことばかり聞かされがちで、実際に入社してみると「全く違う!」ということをよくお聞きします。
業務内容や給与や待遇、勤務地、勤務時間など契約書に書かれている内容と異なると、がっかりしてしまいますし会社に不信感を持ってしまいますよね。「入社前の説明と違う」と感じたら、悩みを抱えたままにせず早めに会社に訴えるようにしましょう。
ただし入社したばかりの新人が声をあげたところで、受け入れてもらえることは正直多くありません。
原因②職場の雰囲気が合わない
「職場の雰囲気が合わない」と感じるのも退職したくなる原因です。
例えばこんな職場はどうでしょうか。
- 毎朝社訓を大きな声で言わされる
- 飲み会を断れない
- プライベートまで支配されがち
- 評価が社長の匙加減
- 体育会系の雰囲気
- リーダーの意見が絶対といった雰囲気
- 男尊女卑な雰囲気
強引に「家族みたいな職場」「アットホームな職場」と解釈させている会社もありますが、自分に合わなければただ窮屈なだけです。そんなしんどい状況で長く働き続けるのは難しいでしょう。
原因③行う仕事に対して自分のスキルが足りない
仕事を始めてみて、他の人との能力差に気づいてしまうこともあるでしょう。今まで自身の強みだったことが急に役に立たなくなって、自信を無くしてしまうかもしれません。
自分の実力不足は、先輩や上司にサポートしてもらったり、スクールリングや独学をしたりすることで補っていくこともできます。しかし業務に支障が出てしまうほど「ついていけない」「辛い」と感じるのであれば、退職して自分の能力に見合った会社に移るのも手段の一つです。
原因④職場の人間関係が良くない
職場の同僚は1日8時間、家族よりも長い時間一緒にいることだってあります。そのため人間関係は非常に重要になります。
もちろん職場にはたくさんの人達が働いているので、1人2人苦手な人いるのは我慢すべきです。しかし職場に「パワハラが横行している」「職場いじめがある」といった場合は、耐えたところで何一ついいことはありません。
ただでさえ慣れない環境や業務内容でストレスを抱えがちなのに、パワハラや職場いじめまであると心身的に疲れ切ってしまいます。
原因⑤サービス残業や休日出勤が多い
サービス残業や休日出勤が常態化はブラック企業にありがちな行為です。
- 長時間労働…労働基準法では法定労働時間を定めています。36協定なしに法定労働時間を超えて労働させることは違法になります
- 残業代の未払い…法定労働時間を超えた労働時間には割増賃金を払わなくてはいけません。割増じゃない賃金を払ったり賃金自体を払ってなかったりするのは違法です。
- ハラスメント行為…パワハラやモラハラのようなハラスメント行為です。
ブラック企業はどんなに上司や人事に訴えたところで、労働環境をよくする気はありません。
また退職を申し出ると「辞めてもいいが後任を用意しろ」「辞めるなら訴えてやる」と脅してくることさえあります。退職したくても退職できない状況に追い込まれたときは、退職代行の利用を検討したほうがいいかもしれません。
試用期間中に退職するまでの流れ
試用期間中でも退職の基本は「円満退職」です。
- STEP①退職日の2週間前までに退職を申し出る
- STEP②退職届を提出し、貸与物を返却
- STEP③業務の引継ぎを退職日までに行う
もともと雰囲気の悪い職場だと「円満退職」は難しいかもしれませんが、トラブルなく穏便に退職できるように努めましょう。
STEP①退職日の2週間前までに退職を申し出る
会社にはそれぞれ就業規則があり、退職の申し出をするタイミングも記載されています。ベストなのはまず就業規則に則ったタイミングで「退職の意志」を伝えることです。
もちろん法律では「退職を申し出てから2週間後に退職できる」と認められているので、退職の2週間前に退職の意志を伝えても法律違反ではありません。
しかし会社の規則に則ることは、社会人として最低限のマナーといえます。お世話になった会社に誠意を示す意味でも、会社のルールを守ることは大切です。
STEP②退職届を提出し、貸与物を返却
退職の意志を伝えたら、退職届を提出しましょう。退職届を受け取ってもらうことは「会社退職を承諾してもらった証拠」になります。口頭で伝えただけでは「言った」「言わない」のトラブルになる可能性もあるので、退職届は必ず提出してください。
また退職日までに、会社からの貸与物は返せるものから返却していくようにしましょう。貸与物のリストを作成しておくと、返却漏れを防ぐことができます。
退職日まで返却できない物や自宅で使用している物があるなら、退職してからすぐ郵送で返却するようにしてください。退職したまま借りっぱなしにしておくと、「業務上横領」になってしまう可能性があります。退職してからトラブルにならないよう素早い対応をしましょう。
STEP③業務の引継ぎを退職日までに行う
引き継ぎがある場合は退職日までにきちんと行いましょう。
使用期間中なので、引き継ぎの量は少ないかと思いますが、業務の状況を教育係や上司に伝え、他の人の業務に支障が出ないようにしておくことが大切です。
また引き継ぎがない場合も、退職日まで与えられた仕事を全うするようにしましょう。
試用期間で辞めるのが気まずい場合は退職代行がおすすめ
A・Kさん
A・Kさん
使用期間中に辞めたくても辞められないときは、退職代行を利用するのも手段の一つです。
退職代行には以下のようなメリットがあります。
使用期間中に退職代行を利用するメリット
- 会社に行かずに退職できる
- 上司に会わずに退職できる
- 即日退職可能
- 未払残業代の交渉ができる
- 退職手続きを丸投げできる
退職代行を利用すれば「出社なし」「上司との面談なし」で退職できるので、退職を伝える精神的ストレスから解放されます。
退職代行を使えば試用期間中に即日退職出来る
法律では「退職を申し出てから2週間で退職できる」と認められていますが、退職代行は退職日までの2週間を出勤しなくていいように会社と交渉してくれます。つまり依頼したその日から会社に行かなくていいので、「実質即日退職」が可能です。
しかし退職代行には運営元で「弁護士」「労働組合」「民間企業」の3つに分かれており、このうち「民間企業」の業者は法律で交渉が禁止されています。もちろん民間企業の退職代行に依頼することは悪いわけではありません。
B・Iさん
U・Aさん
Y・Tさん
このような交渉の希望がある場合はおすすめできません。
自分の希望通りの退職を叶えるなら、「弁護士」か「労働組合」の退職代行に依頼するようにしてください。
試用期間中の退職体験談8選をご紹介!まとめ
試用期間中に退職した人達の体験談はいかがでしたでしょうか?
どの方も退職を決断して「よかった」「解放された」と感じていらっしゃるようでした。
会社は入社したばかりではわからないことも多いです。しかし新人だからこそ感じる「違和感」は決して間違いではありません。
「すぐ退職するなんて甘えだ!」なんて我慢せずに、自分の感覚を信じてください。