産休は、職場に復帰することを前提とした制度です。
しかし産休中に状況が変わって、復職できなくなることもあるはずです。
産休後に退職は、誰にでもできるのでしょうか?
今回は産休後の退職の注意点や伝え方のポイントなどを、詳しく解説していきます。
- 産休後に退職することは法律上なんら問題ない!
- 産休後に退職すれば育児に専念できる
- 産休後に退職するときの注意点は2つ
- 退職を伝えづらいときは退職代行に依頼しよう!
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【結論】育休・産休後に退職することは可能!
結論から言うと、育休・産休後に退職することは法律上なんの問題ありません。日本国憲法では労働者には「退職の自由」が認められているので、「育休後だから」「産休を取っているのに」といった理由で、会社が退職を拒否することはできないのです。
ただし育休や産休は「終わったら会社に戻ってくることを前提」として、取得が認められており、会社はあなたが戻ってくることを期待して、業務の振り分けや人材の配置を行っています。
「会社に迷惑をかけてしまう」「退職するのは申し訳ない」と考えるなら、退職は慎重に考えましょう。
産休後に退職する人は40%以上と多い
産休後に退職する人は意外と多いです。内閣府男女共同参画局の「共同参画2019年5月号」によると、第1子出産前後の女性の継続就業率は以下であることがわかっています。
期間 | 出産後退職した女性の割合 |
---|---|
2010~2014年 | 46.9% |
2005~2009年 | 59.7% |
2000~2004年 | 59.4% |
1995~1999年 | 61.8% |
1990~1994年 | 60.7% |
1985~1989年 | 60.7% |
少しずつ減少していますが、直近の2010~2014年でも40%以上の女性が退職しています。現在国は厚生労働省を中心に、「育児・介護休業法」など仕事と家庭の両立しやすい職場環境づくりを推進しています。しかし実現までの道のりは、まだまだ厳しいのが現状のようです。
産休・育休後の退職で利用できる手当金制度4選
産休・育休後に退職しても利用できる手当金制度があります。出産して家族が増えると家計の支出が増えるので、手当金が貰えるのは嬉しいですよね。
ただしこれらの手当金制度を利用するには条件がありますので、詳しくみていきましょう。
手当金①出産手当金
出産手当金は、健康保険の被保険者が出産のために会社を休んだときにもらえる手当金です。出産で会社を休んでいる間給料がもらえなかった場合、出産の日以前42日から出産の日の翌日以後56日目までの期間が対象になります。
一日あたりの支給額=支給開始日以前の継続した12ヵ月間各月の標準報酬月額の平均額÷30日×3分の2となります。
- 国民健康保険の場合は受給資格がない
- 出産のために会社を休んで給料がないときに受給できる
- 出産予定日42日以前に退職したら受給資格がない
手当金②出産一時金
出産一時金は、子どもが生まれたらもらえる手当金です。国民健康保険・健康保険どちらの被保険者・被扶養者も対象になります。また妊娠4ヶ月以上での出産であれば、早産、死産、流産、人工妊娠中絶の場合も支給対象です。
支給額は2022年度までは42万円(特定の条件では40.4万円)、2023年度からは50万円に大幅増額される予定です。ただし出産一時金は出産日の翌日から 2 年で時効になるので、ご注意ください。
- 妊娠4ヶ月以上で出産したら受給できる
- 国民健康保険・健康保険どちらでも受給対象になる
- 出産してから2年経つと、申請できない
手当金③育児休業給付金
育児休業給付金は、育児休業中に受給できる雇用保険制度の一つです。そのため雇用保険に加入していることが大前提になります。育児休業に入るまでに11日以上勤務した月が12回あり、育休中に休業開始前の給料の8割以上が会社から支給されない人が対象です。
支給期間の終了日は原則子どもの1歳の誕生日までですが、子どもが保育所に入所できなかった場合などには最大2歳まで延長することができます。また受給の申請は2ヶ月に一度会社を通して行わなければいけません。
支給額は休業開始から180日目までは休業開始時賃金日額の67%、181日目以降は50%となります。
- 雇用保険に加入している(出産後退職したら受給できない)
- 休業に入るまでに11日以上勤務の月が12回ある
- 休業中に休業前の給料の8割以上が毎月もらえていない
- 2ヶ月に1度会社を通して受給申請する
手当金④失業手当
失業手当は育児休業給付金と同じく、雇用保険制度の一部です。退職前に雇用保険に加入していればたいていの人が受給対象になります。しかし出産・育児を理由に退職したときはすぐに失業手当をもらえない可能性があります。というのも失業手当を受給するには「今すぐに働ける状態にあること」が大前提だからです。
つまり「出産後の育児が大変だから働けない」「育児に集中したいから退職した」といった場合は、受給条件にあてはまりません。
ただし今すぐではなくても再就職するつもりならば、受給期間を延長する申請をしておくのが有効です。申請を出しておけば最長3年間受給期間を延ばせるので、転職活動をするときに失業手当を受給できるかもしれません。
- 退職までの2年間に12ヶ月以上雇用保険に加入していた
- 今すぐ働ける状態である
- 申請すれば、最長3年間受給期間を延長できる
退職するなら産休後すぐがおすすめ!その理由とは?
退職のタイミングを迷っている方も多いでしょう。産休後・育休後のどちらかで退職するなら産休後すぐがおすすめです。
出産後は出産の疲れを癒す間もなく、慣れない育児に追われることになります。体力的にも精神的にも、負担はできるだけ減らしておきたいですよね。
理由①子育てに専念出来る
立派に独り立ちしてくれるまで子育てに終わりはありませんが、一般的に育児の負担は3歳までが特に大変だといわれています。このころの子ども哺乳瓶でミルクを飲ませていたかと思うと離乳食になり、ハイハイからよちよち歩きをはじめたらあっという間に走り回るなどとても成長が目まぐるしいです。
大変な時期であることには間違いありませんが、一生に一度しかない大切な時間を見逃すのはもったいないですよね。会社を辞めて子育てに専念していると、子どもの大切な成長の期間を全て見守ることができます。
理由②仕事のストレスが無くなる
出産してすぐに仕事を辞めておくと、余計なストレスを感じずに子育てに専念できるはずです。先にも述べましたが、可愛い子どもの成長を見守るのは楽しいことである以上に大変で辛いこともたくさんあります。出産する前にあれこれ想像していたのに「こんなはずじゃなかった」と思うことも少なくないでしょう。
仕事を続けながら育児をすると、慣れない子育てのストレスだけでなく仕事でのストレスも抱え込むことになります。またストレスが蓄積されるとイライラして、子育ても仕事もうまくいかなくなるかもしれません。
理由③プライベートの時間を作れる
仕事をしていると仕事の時間以外はほぼ子どもに占領されてしまい、ストレスを発散する間がありません。仕事と育児、子どもが寝ている間に掃除・洗濯と家事に追われるような日々を過ごしている人がほとんどでしょう。
ところが仕事がないと、時間全体に余裕ができます。子どもが起きていても様子を見ながら家事をこなせるので、子ども寝ている時間は自分の自由時間です。子どもと一緒にお昼寝をするのもいいですし、再就職に向けて資格の勉強に充てることもできます。
産休後に退職する際に知っておくべき注意点
産休後に退職することには「育児に専念できる」「時間に余裕ができる」「ストレスが少ない」といったいい点がたくさんありますが、注意すべき点もあります。
出産後の資金や再就職のプランを失敗しないためにも、しっかり理解しておきましょう。
注意点①経済的な負担が増える
退職すると、安定した収入が減ります。産休後に退職までにもらえるお金は以下のようになります。
- 退職金
- 出産一時金
- 出産手当金
- 出産祝金(会社の規則による)
産休後に退職すると、配偶者の収入のみで家計を全てやりくりしなければなりません。収入が減っただけでなく家族が1人増えたことによって、当然経済的な負担は大きくなります。また離職期間が長くなると、正社員で再就職するのは困難です。もし再就職できたとしても、以前以上の収入を望めないかもしれません。
子どもが成長するにつれて、学費や習い事といった大きな出費も増えてきます。将来のライフプランや教育方針などを配偶者とよく話し合って、資金計画を立てるようにしましょう。
注意点②保育園に入れない可能がある
認可保育園に入れる優先順位は、家庭状況の「指数」で判断され、指数が高いほど入園しやすくなります。自治体によって多少異なりますが、一般的にはフルタイムで会社で働いているよりも「転職活動中=働いていない」ほうが指数が低くなるので、優先順位が低いのです。
ただし自治体や保育園によっては、転職活動中は保育の必要性があるとして2~3ヶ月など一定の猶予期間を設けている場合があります。その期間中に再就職先が見つからなければ退園になってしまいますが、条件付きでの入園が可能です。
もし認可保育園に入園できなくても、認可外保育園や認可保育園を利用するといった選択肢もあります。認可保育園だけにこだわらずに検討してみてください。
育休後に退職する際の流れ
産休・育休に入る前は復職する予定でも、どうしても退職しなくてはいけない事情ができることもあります。ここでは育休後に退職する際の流れについてご説明します。
産休後の退職を職場へ伝える時のポイント
産休後の退職は通常の退職と違うので、退職の意志を伝えるタイミングなどわからないことも多いかと思います。
- 退職の意志は極力早めに伝える
- 退職理由は前向きな内容にする
- 現在より好待遇を提示されても断る
- 可能な限りの引継ぎを行う
- 退職を伝えることが出来ない場合には退職代行を検討する
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5つのポイントを押さえておけば、スムーズに退職することができます。
①退職の意志は極力早めに伝える
法律上では退職の意志は「2週間前」に伝えればいいことになっています。しかし職場はあなたが復職することを期待して、業務を振り分けや臨時社員の雇用をしているはずです。にもかかわらず急に2週間前に「やっぱり辞めます」と伝えたらどうなるでしょう。職場は新たな人員配置が間に合わなかったり事業に取りかかれなくなったりと、損害を被ることになります。
産休後の退職は職場にとって予想外のことなので、「退職すること」自体が迷惑です。会社にかける迷惑を最小限に抑えるためにも、1~2ヶ月前には退職の意志を伝えるようにしましょう。
②退職理由は前向きな内容にする
産休後の退職に限ったことではありませんが、退職理由はなるべく前向きな内容が好ましいです。決して「嘘をつく」という意味ではなく、そのまま伝えるとネガティブな内容なら言い方を工夫するようにしましょう。
例えば「子どもの体が弱く心配で仕事どころではない」という退職理由なら「子どもの体が弱いので、一緒に向き合って改善する方法を探したい」と言い換えることができます。同じ内容ですが、前者のように伝えると、「会社は邪魔」と言っているように思えますよね。一方後者であれば、子どもに向き合う前向きな姿を印象づけられるはずです。
③現在より好待遇を提示されても断る
産休に入っていても、あなたは会社にとって大切な戦力には違いありません。上司は退職されては困るので「戻ってきたら給料UP する」「今よりもいいポジションになれるよ」「一切残業しなくていいから」など、産休前よりもいい待遇を提示してくる可能性もあります。
しかしどんなに魅力的な条件であっても、揺らぐ気持ちをグッとこらえてお断りしましょう。たいていの場合、直接の上司に提示した条件を確約できるような権力はありません。つまりあなたが復職したところで、提示された魅力的な条件通りに働けるとは限らないのです。
④可能な限りの引継ぎを行う
産休前に復職するつもりであった場合、全ての業務の引き継ぎができているとは限りません。出産後は慣れない育児で忙しい時期ではありますが、時間が許す限り引き継ぎを行うようにしましょう。
しっかり引き継ぎを行っておけば退職してから職場から連絡がくることはないので、育児に専念することができます。また引き継ぎ書を作成しておくと、万が一すぐに後任者が見つからなくてもあなたの業務を職場全体でカバーすることが可能です。
⑤退職を伝えることが出来ない場合には退職代行を検討する
退職したいけど退職を伝えられない事情があるときは、退職代行の利用を検討しましょう。産休後に退職したい人が退職代行を利用するメリットは、以下の通りです。
産休後に退職したい人が退職代行を利用するメリット
- 会社に行かずに退職できる
- 上司に会わずに退職できる
- 退職手続きをほぼ丸投げできる
- 有給の交渉ができる
- 退職書類が確実に受け取れる
退職代行を利用すれば、退職の精神的負担を大幅に軽減できます。
産休後・育休後に退職する際によくある質問
退職代行には、日々退職の悩みを抱えている人から多くの質問が寄せられています。そのなかでも「産休後・育休後に会社を辞めたい!」という人からよくある質問にお答えしていきます。
産休・育休明けの退職はずるい・迷惑と思われる?
産休や育休は「会社に復帰することを前提で」取得できるものです。そのため職場の人達は、あなたの復帰を心待ちにしています。ところが、あなたが産休・育休が終わっても帰ってこないとわかったらどうでしょう?「復職しないくせに、休みだけ取るなんてずるい」「戻ってくると思って仕事を進めていたのに迷惑」と思われるのは当然ですよね。
しかしたとえずるい・迷惑と思われたとしても、そんなに気にすることはありません。なぜなら退職してしまえば、職場の人に会うことはほとんどないからです。退職すれば会わない人にどう思われるかを気にするよりも、子どもとの時間を大切にしましょう。
産休を取らずに退職したら後悔する?
産休を取らずに退職して、後悔するどうかは人それぞれです。しかし産休を取ってから退職するほうが経済的にも時間的にも余裕ができるので、取ったほうがお得だといえます。
産休を取らずに退職すると安定した収入が無くなり、失業手当ももらえません。一方産休中には出産手当金がもらえるので、経済面で助かります。
また勢いで退職してしまうと「やっぱり働きたい」と思ったとしても、小さい子どもがいると簡単に働き口は見つけられません。しかし退職せずに産休を取っておけば、出産前後の約3ヶ月の間退職か復職かじっくり考える時間ができます。
【まとめ】産休後の退職は可能?注意点や伝え方のポイントを徹底解説
産休後の退職について解説してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
産休後の退職は職場に迷惑を掛けてしまいますし、職場の人からは「ズルイ」と思われるかもしれません。しかし産休を取ると経済面で助かりますし、今後の人生設計を考える時間的余裕ができます。
「退職したいけど辞める勇気がない」という方は、ぜひ退職代行を頼ってください。退職代行を利用すれば、退職の精神的ストレスなくスムーズに会社を辞めることができます。