望まない異動を拒否して退職できる?会社都合で退職できるケースや注意点やをご紹介

望まない異動を拒否して退職できる?会社都合で退職できるケースや注意点をご紹介

退職希望のA・KさんA・Kさん

異動したら、うまくやっていく自信がない

退職希望のY・TさんY・Tさん

異動先って全然業務が違う部署!?退職したほうがいい?

慣れた部署を離れて人事異動するのは不安ですよね。「どうせ拒否できないなら退職したい」と考える人もいるはずです。

結論を言うと、望まない異動を拒否して退職は可能です!

この記事では異動命令がきて悩んでいる人に向けて、異動拒否の退職をするときの注意点や会社都合にできるケースを詳しくご紹介していきます。

目次

【前提】異動命令は原則拒否できない

【前提】異動命令は原則拒否できない

大前提ですが、正社員として雇用されている場合、原則として異動命令を拒否することはできません。

会社には「業務命令権」・「人事権」・「施設管理権」の3つの権利が認められており、まとめて「経営3権」といいます。このうちの人事権は「労働者の地位の変動や処遇」に関して決定する権限です。異動命令も人事権のなかに含まれています。

人事権にはおもに以下のような権利があります。

  • 「懲戒権」…企業の秩序を乱すような違反行為に対する権利
  • 「解雇権」…労働者との労働契約を解除する権利
  • 「配転命令権」…労働者の職務内容や勤務地を決定する権利
  • 「出向命令権」…労働者に子会社や関連会社などへの出向を命じる権利

またパートやアルバイトであっても雇用契約書に「人事異動がある」と明記されているなら、異動命令を拒否することは難しいです。

望まない異動でも拒否すると懲戒解雇になる恐れも

どんなに望まない異動でも、正当な理由もなく異動命令を拒否することはできません。拒否すると命令違反なので、「解雇」や降格・減給といった「懲戒処分」の対象になります。

  • 今の部署が楽しいから
  • 業務内容が変わるのが面倒だから
  • 勤務先が家から遠くなるから
  • 引っ越さないといけないから

このような理由で異動を拒むと、最悪の場合懲戒解雇される可能性もあります。懲戒解雇は転職が困難になったり、失業手当の受給が不利になったりするのでご注意ください。

望まない異動を自己都合で拒否したいなら辞めるしかない

退職希望のB・IさんB・Iさん

正当な理由はないけど異動を拒否したい

退職希望のU・AさんU・Aさん

異動を拒否したいけど懲戒解雇されたくない!

望まない異動が受け入れられないのなら、「退職」の一択がベストです。

「望まない異動の拒否=絶対に懲戒解雇」ではありません。「異動したくないので、退職します」と言うことができます。

ただし原則として異動拒否の退職は、会社に非がないので「自己都合退職扱い」になります。

異動拒否で退職するなら退職代行もアリ

異動を拒否して退職するなら、退職代行を利用するのもいい方法です。

退職代行を利用すれば、退職を自分で伝える必要がありません。また面倒な退職手続きをほぼ丸投げできるので、退職の精神的負担を大きく軽減できます。

退職代行のメリット

  • 会社に行かずに退職できる
  • 上司に会わずに退職できる
  • 即日退職することができる
  • 有給消化や未払給料の交渉ができる
  • 退職の手続きをほぼ丸投げできる

自力で退職を申し出ると、強い引き止めに遭ってなかなか退職できないというケースもあります。

「退職で会社と揉めたくない」「引き止められたらうまく断れない」といった人はぜひ退職代行の利用を検討してみてください。

望まない異動を拒否できるケース5選

望まない異動を拒否できるケース5選

どんなに望まない異動でも、原則として拒否することはできません。
しかし以下のようなケースであれば、異動拒否が可能です。

望まない異動を拒否できるケース
  • 職種や勤務エリアが雇用契約で限定されている
  • 従業員が介護や病気など転居が難しい状態にある
  • 従業員の給料が下がる
  • 不当な動機による異動
  • 法律に反する異動

具体的に説明していきます。

ケース①職種や勤務エリアが雇用契約で限定されている

まずは雇用契約書で「職種や勤務エリアが限定されている」ケースです。職種や勤務エリアが限定されている場合、その範囲外での異動を命じるのは雇用契約違反になります。

また仮に雇用契約書に「人事異動」の記載があったとしても「職種」や「勤務エリア」が優先されるため、異動拒否が可能です。

ケース②従業員が介護や病気など転居が難しい状態にある

育児・介護休業法第26条には次のように定められています。

事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。(育児・介護休業法26条

従業員の家族が介護の必要な場合や転居が難しい病気の場合などは「異動によって従業員の受ける不利益が大きい」と判断されれば、異動の拒否が認められます。

ただし従業員の受ける不利益が以下のような内容だと、異動を拒否するのは難しいです。

異動を拒否できない不利益のパターン
  • 家から職場が遠くなる
  • 単身赴任しなくてはいけない
  • 家族の送迎ができない
  • 残業時間が増える

ケース③従業員の給料が下がる

異動と同時に昇給・昇格はありますが、賃金が下がることはありません。

「異動によって職種が変わった」「異動先の勤務地のほうが前と比べて最低賃金が低い」などの理由で、会社が一方的に従業員の賃金を下げることはできないのが原則です。

異動によって給料が下がるのなら、会社の賃金制度を確認してみましょう。異動で給料が下がる根拠が見当たらなければ、拒否して問題ありません。

ケース④不当な動機による異動

権利濫用が疑われるような、不当な動機による異動も拒否することができます。

不当な動機による異動
  • 従業員への嫌がらせが目的の異動
  • パワハラの延長線上の異動
  • 従業員へ「自主退職」を促すのが目的の異動

例えば「長年やってきた業務と全く違う部署への異動」や「通勤が不可能なほど遠方への異動」の場合、会社側その異動の目的を合理的に説明できなければ「不当な動機による異動」であると推察できます。

もしパワハラなど違法性が疑われるときは、異動拒否だけでなく慰謝料請求できる可能性もあります。

ケース⑤法律に反する異動

異動が法律に違反している場合も拒否することができます。

法律では、以下のようなことが定められています。

事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
一 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
男女雇用均等法第6条抜粋

事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。
2 事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはならない。
3 事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第二項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。(男女雇用均等法第9条抜粋)

使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。(労働基準法第3条)

例えば女性を子供が生まれたことを理由に、退職させる目的で異動を命ずるのは違法です。また日本人じゃないから、とわざと遠方に異動させるのも法律違反になります。

異動拒否して退職するときの注意点

異動拒否して退職するときの注意点

どんな理由であれ異動を拒否すると、会社との関係は気まずくなってしまいます。余計なトラブルを招かないためにも、退職でによって関係をこじらせるのは防ぎたいですよね。

異動拒否して退職するときに、ぜひ気を付けていただきたい3つのポイントをご紹介します。

異動拒否して退職するときの注意点
  • 会社の就業規則に則って退職する
  • 人事異動を拒否し続けて会社にいるのは不可能
  • 自己都合退職扱いになることが多い

会社の就業規則に則って退職する

注意点の一つ目は「就業規則に則って退職する」ことです。

会社にはそれぞれ就業規則の中に「退職規定」があり、退職期間の定めが記載されています。退職期間は会社によって異なりますが、1~2ヶ月が一般的です。

就業規則を確認して、自分の会社の退職期間を遵守するようにしましょう。

退職希望のA・KさんA・Kさん

退職を申し出てから2週間で退職できるんじゃないんですか?
法律上は問題ありませんが、円満退職を目指すのであれば就業規則に従いましょう

退職代行オールサポートスタッフオルサポスタッフ

また退職を申し出てから退職日までの期間は、引き継ぎや業務に励むようにしてください。

人事異動を拒否し続けて会社にいるのは不可能

異動は原則拒否することができません。人事異動の理由が正当であるにも関わらず自己都合で拒否する場合、何かしらのペナルティは覚悟する必要があります。

なかにはペナルティが「解雇」ではなく、「減給」「降格」で在籍できる会社もあります。しかし人の噂は広まるのが早いです。「異動拒否で減給されたらしい」「異動拒否で平社員になったらしいよ」など囁かれながら、会社に居続けるのは気まずいですよね。

会社の正当な人事異動には「おとなしく従う」か「退職する」しかないことを、もう一度頭に入れておきましょう。

自己都合退職扱いになることが多い

異動拒否をした場合の退職理由は、基本的に自己都合退職になります。

望まない異動だったとしても正当な理由の異動ならば、異動拒否したのは「自分の都合」なので会社は悪くありません。

自己都合退職は、転職で不利になることはないので安心してください。ただし失業手当の受給開始が遅くなるので、注意が必要です。

異動拒否での退職は会社都合にできる?パターン別に解説

異動拒否での退職は会社都合にできる?パターン別に解説

ここまで異動拒否での退職は「自己都合退職扱い」になる、とご説明していきました。では本当に「会社都合」になることはないのでしょうか?

5つのパターン別に解説していきます。

私的な理由で退職を申し出た場合

× 会社都合にできない

  • 異動先が希望している職種ではない
  • 人間関係が悪いと評判の部署なので行きたくない
  • 子どもが生まれたばかりで単身赴任したくない
  • 今より家から職場が遠いから嫌
  • 地元が好き
  • 異動先の部署に苦手な先輩がいる

上記のような私的な理由から異動を拒否して自ら退職を申し出た場合、退職理由は「自己都合」になります。

会社に異動拒否を受け入れてもらえなかった場合

× 会社都合にできない

  • 自宅で1人で家族の介護をしている
  • 子供が病気で決まった病院への通院が必要

介護や病気など正当な理由があるときは、異動拒否が可能です。ただしこれは会社に異動を拒否する相談ができるだけであって、会社が必ずしも受け入れてくれるとは限りません。

もし異動拒否の相談をしても会社が受け入れてくれない場合は、「おとなしく異動する」か「退職する」かしかありません。検討の結果、自分で退職を選んだのなら「自己都合」ということになります。

就業規則や雇用契約書に転勤について記載がない場合

〇 会社都合にできる

就業規則や雇用契約書に転勤ついての記載がない場合、契約違反となります。また記載があった場合でも、「職種」や「勤務エリア」が限定されているなら同様です。

会社側が契約違反を理由に退職するなら、会社に非があっての退職なので「会社都合」にすることが可能です。

異動拒否によって退職勧奨や退職勧告を受けた場合

〇 会社都合にできる

そもそも移動は、会社の組織運営や環境改善といった施策の一環です。異動を拒否すると「会社の方針に従えない人」とみなされることがあります。会社の方針に従えない人は会社にとって不要な人材と判断され、退職勧奨や退職勧告を受ける可能性があります。

異動拒否を理由に退職勧奨や退職勧告をされ、それを受け入れた場合は退職理由が「会社都合」になります。

異動拒否したことでパワハラなど嫌がらせを受けた場合

〇 会社都合にできる

異動を拒否したら上司からパワハラを受けるようになったり、辞めるように強要されたりした場合は退職理由を「会社都合」にできます。

また異動拒否を受け入れてもらえずやむなく異動した結果、異動先でパワハラや嫌がらせをされて退職に追い込まれた場合も同様に「会社都合」にすることが可能です。

しかし会社都合退職にも関わらず、会社側に「自己都合」として処理されるかもしれません。このようなときは、メモや録音などの証拠があればハローワークに相談して異議申し立てをすることができます。パワハラや嫌がらせの事実を記録しておくのは辛いことですが、泣き寝入りしないようにしましょう。

異動拒否の退職で退職代行を利用した人の体験談

異動拒否の退職で退職代行を利用した人の体験談

最後に異動を拒否して退職代行を利用した人の体験談を3つご紹介します。

いじめの異動命令を拒否した30代女性

退職希望のA・KさんA・Kさん

異動拒否をしたのですが受け入れてもらえず、仕方なく部署異動をしました。本当は以前同じ部署で私をいびっていた先輩が異動している先なので、本当に行きたくなかったです。

先輩も少しは変わっているかなと期待したのですが、またいじめが始まりました。無視や業務の押しつけなんて当たり前です。せっかく治っていた睡眠障害や頭痛が復活して、診療内科に通うことになりました。心身に限界がきてしまって、退職代行にお願いして退職しました。

今はいじめが存在しないどころか、私の体調を気遣ってくれる会社に転職できています。同じ職場でもこんなに違うならもっと早く退職代行に依頼して退職すればよかったです。

契約書にない異動を拒否した30代男性

退職希望のB・IさんB・Iさん

そもそもエリア限定社員だったので、関東への異動の話が来たときは驚きました。いくら無知でも契約違反なのは丸わかりですよね。それまでも無茶なことはいろいろありましたが、あれはさすがにやりすぎだと思いました。

このまま居続けるのは危険と感じ、妻と相談。退職代行に異動拒否と退職を伝えてもらいました。無事退職して数日後、届いた離職票を見たら「自己都合退職」と。納得できないので退職代行に相談したら、ハローワークに相談したほうがいいとアドバイスをもらえてよかったです。スムーズに退職できて、的確なアドバイスもしてもらえて満足しています。

望まない異動をさせられ1ヶ月で退職した20代女性

退職希望のY・TさんY・Tさん

正直それまでの部署はみんな優しくて仕事がやりやすく最高でした。突然の部署異動はショックでした。全く望んでいない異動でしたが、社員だししょうがないと思って異動を受けました。

異動先は一人一人の業務量が多くてとにかく忙しかったです。残業も多く、同じ会社でこんなに環境が違うものかと驚きました。疲労を溜め込んだ職場の人達の表情を見ているうちに「こうなる前に逃げなければ!」と決意し、退職代行に駆け込みました。日曜日なのに対応してくれて、月曜日は会社に行かなくていいと言ってもらえました。

望まない異動を拒否して退職できる? まとめ

望まない異動を拒否して退職できる? まとめ

望まない異動を拒否して退職は可能です。「自己都合」になるか「会社都合」になるかは状況によるので、注意が必要です。

また退職代行も退職の有効な手段です。退職代行を利用すれば会社に行かずに退職できるため、退職日まで気まずい思いをしながら勤務する必要がありません。

「自分で退職を言いづらい」「退職手続きが煩わしい」といった場合にもスムーズに退職できるので、ぜひ利用を検討してください。

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